こごみの旅日記

旅でもらった思い出いろいろ

長崎へ数年ぶりの娘と二人旅③ ~出島

今回の旅の中で、一番行ってみたかった場所であると共に、一番期待をしていなかった場所でもあった。

復元された場所だということと、きっとインスタ映えの小ジャレた感じにしつらえてあるのではないかと思ったんだけど、

全然そんなことなかった。
正直めちゃめちゃ面白かった。

 

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一本の通りがズドーンと貫いて、両側に「鎖国期」「幕末期」「明治期」の建物が並んでいて、ササっと軽く流し歩けば二時間もかからないかもしれない。

しかし、こういうのが好きな人にかかれば、時間なんてあってないようなもの。

 

オランダの人たちと日本の人たちが過ごした場所

 

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グラバー園同様、1つ1つのパネルと展示物を食い入るように見学&読破。日本とオランダの関係とその歴史、なんて言うと真面目な勉強みたいでしんどく聞こえるけど、オランダ人と日本人がいっしょに暮らしていた唯一の場所であったわけで、その時の様子や状況を知ると、すごく面白い。

 

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オランダ人が持っていた珍しい物よりも、日本人にとってはオランダ人そのものが“珍しい者”であったというのが、もうすでに面白い。

一つ一つの建物で、残っている記録や展示物を見ていくと、頭の中で当時の彼らの様子が実にリアルに浮かんでくる。

初めてコーヒーを飲んだ日本人の感想は、当然まずいのだが意外にも「苦い」という感覚ではなく、「焦げ臭い」だった。

フォークのことを、「フォルク」、使用法は「肉さし」と記録。

 

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出島に呼ばれた遊女たちが、酔っ払って言い寄るオランダ人を手で押しのけながら、嫌そーな顔をしている絵がリアル。

オランダ人に混じって食事作りの手伝いをしている日本人使用人たちの絵も面白かった。
(娘がいたく気に入ってポストカードまで買った)
大量に肉を解体しまくっているオランダ人たちの側で、面倒くさそうにスパイスをすりつぶしている人や、無の表情で鍋をかき回している人など。
きっと「なんじゃこれ」と思いながらかき回しているんだろう。
けっこう笑える。

 

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でも嫌なことばっかりでもなく、日本人が珍しい食べ物をごちそうされると、少しだけ食べて後は持って帰る人も多かったそうで。きっと家族に食べさせてあげたかったんだろう。

この小さな島で起きていたことや、この島を通って日本へ入ってきたもの、日本から海外へ出て行ったものは驚くほどたくさんあって、ここがその後の日本の発展に信じられないくらい関与していた場所だということに、改めて思い至った。

 

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小さいけれど濃密極まりなかったこの島を管理していたのは、「乙名」という幕府のお役人さんだったが、公的私的あらゆる事にたずさわっていた。忙しかったんだろうなあと思っていたら、案の定多忙を極め、家に帰ることもできず、泊まり込みも日常茶飯事で、とうとう途中から助手をつけてもらえるようになったそう。「もう無理!!」ってなったんだろう。

オランダから入ってきた言葉、野菜、植物、動物…驚くほどたくさんの事柄。
「へえー、これもそうなんだあ」「すごいねえ」「知らなかったあ」と、みなさんの口々からこぼれ出る感想。

 

奥が深すぎます長崎。

明治エリアで休憩

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「旧長崎内外クラブ」の建物の一階がレストランになっているということで、こちらで休憩。私は長崎の定番カステラをいただいた。当時の人もきっと、カステラはおいしいって思ったんだろうなあ。だからこんなに広まったんだ。

 

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娘は長崎名物の「ハトシ」をいただいた。エビや魚のすり身を揚げたもので、いろいろな形状があるそう。こちらでは食パンにくるんで揚げているということ。意外と知られてないですね。

異人館のようなこの建物は、日本人と外国人の交流のためにグラバーの息子「倉場さん」が建てられたもの。というのをパンフレットで読み、
「おおー!」
と感嘆の声をもらした親子。昨日グラバー園に行っていなければ流し読みしてました。

 

キャストのおじいちゃん

表に出て通りを歩いていると、「写真撮ってあげよう」と出島のキャストのおじいちゃんに声をかけられた。どうやらカメラ好きそうな気配。

「ズームどこ?」と娘のカメラを持って楽しそう。
「あ、すいません、それズームできないんです」
特殊なんです、そのカメラ。

 

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こっちの景色がいい、今度はあっちと、7~8枚撮ってくれた。
後で確認したら、「なんだこれ」という写真が3枚ほどあったけど、写真が苦手な引きつり笑いの親子の写真は綺麗に映ってました。

写真撮りながらいろんな説明を聞かせてくれた。出島は本当はもっと陸に近かったことや、まだ未完成であること。実に楽しそうに「完成するまであと30年かかる」と教えてくれた。

長いぞ…30年てことは、まともに観れるのは娘だけかも…。
おじいちゃん失礼ながらアウトだろうし、私はなんとかセーフだろうけど、たぶん「もういいや」ってことになってそう。

いろいろ話聞かせてくれて、ありがとう。
いい思い出になりました。

 

これは掘り出し物だと思うおみやげ

 

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出島のおみやげ屋さんで見つけた冊子。
「出島新聞」という形で、出島で起こったいろいろな騒動を紹介している。
200円は絶対お得。

 

オランダと日本との関係がこれほど深かったというのは、今となってはほとんど知られていない事実。世界から注目されていた市場であった日本を目指して、オランダ人に変装してやって来たアメリカ人やイギリス人なんかもいたそうで。

 

 

商売やお役目は別として、オランダ人と日本人がお互い珍しがりながら、いっしょに過ごした出島の地は、そうとうにぎやかで大変なこともきっといっぱいあって、それでもいっしょに笑ったりしたことも多かったと思う。ここから生まれたものは数知れず。

 

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ほんの1時間もいればいいかなと思っていた出島に、3時間くらい居た。
次行こうとしていた場所には、中途半端な時間となる。
雨も降ってきたことだし、ホテルに早めに帰ってゆっくりすることにした。
今日は一日、出島に捧げた。