横尾忠則現代美術館の「緊急事態宣言」
毎回展覧会が楽しみな、神戸市の横尾忠則美術館
現在は「緊急事態宣言」が開催中。
美術鑑賞は、自分にとってモヤモヤしている気分を落ち着かせてくれる安定剤の1つなのだけど、横尾氏の作品は落ち着かせてくれる+吹っ飛ばしてくれる力を持っているので、心にいろいろなことがたまって重くなってきた頃に行くと、とても良い。
美術館の解説いわく、
横尾氏がこれまで描いてきた「虚実が交錯するかのような緊迫した状況」の作品を集めた展覧会が「緊急事態宣言」。
コロナ禍を多分に意識した「危機的状況」がテーマの作品が並んでいます。
エントランスで、手指の消毒、名前等を書類に明記。
チケット買って、いざ入館。
こちらの美術館の凄いところは、写真撮影が許可されているところ。
最近博物館では部分的に許可してくれているところも見かけますが、美術館ではさすがに少ないですね。
といっても、あんまりバシャバシャ撮っている人もいませんし、そこは節度とかありますから、お気に入りのものだけをいただきました。
この展覧会の象徴的な作品で、ポスターにもなっている左側の作品は、アンリルソーの有名な絵画「眠るジプシー女」のパロディ的作品。
月光の元、砂漠で眠っている女性とライオンを描いた幻想的な絵画ですが、横尾氏のライオンはなんと女性を食い殺そうと襲い掛かる。眠るどころか必死に抵抗する女性。
まさに危機的状況。
隣の男性も、なんか怪物に襲い掛かられているし、
こちらもまさに危機的状況。
こんな絵画がいっぱい並んでいます。
なんか気に入った作品。
パニック感満載。
園児に描かれたような人間が横たわっていますが、いったいどうして、またなんで…?という状況。
もう1つのお楽しみが
あちこちに散らばっている小さなパネル。
横尾氏がウェブ上で展開している「ウィズコロナ」の作品たちで、さまざまな写真や自作の絵画に、横尾氏のトレードマークの“ベロンと舌を出した真っ赤な唇”のマスクがほどこしてあるもの。
これはなかなか笑えて楽しい。
神戸新聞ウェブサイトいわく、
「疫病の流行を背景にした奇抜でアイロニカルなコロナアート」
横尾さんにしか出来ないし、横尾さんだからこそ笑える。
お昼にはちょっと早かったのですが、併設の「パンダカフェ」でランチ。
野菜いっぱいのカレー。
辛すぎないので、食べやすいと思います。
カフェ名物、横尾忠則デザインの器。
横尾デザイン顔面コースター
近くの席では、2人のばあちゃん連れが「久しぶりだわあ」とおそらく数か月ぶりの美術鑑賞にご満悦。
「でも今日の絵はちょっとむずかしかったわねえ…」
と、うなずき合っていた。
心にたまった重たいものを本日もふっ飛ばしてくれた横尾絵画に感謝。
ばあちゃんたちと共に、ウィズコロナまだまだがんばります。