こごみの旅日記

旅でもらった思い出いろいろ

まだ青モミジの京都「無鄰菴」

先日書いたブログ、京都の「東山魁夷展」の喧騒の場から、10分ほど歩いたところにある「無鄰菴」というスポットに立ち寄りました。少し離れただけで人も少なくこんなに静か。

 

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こちらは南禅寺のすぐ側で紅葉の名所なのですが、まだまだモミジたちは青々として、これはこれで綺麗。

無鄰菴とは、明治の政治家「山県有朋」の京都の別荘です。正直、山形有朋は歴史人物の中では個人的に興味がない部類の人。私の中で歴史は明治維新と共に終わっているので、それ以後のことはほとんどさっぱり。ですから、こちらが「無鄰菴会議」という歴史的に有名な場所だということは当然知りませんでした。

 

山県有朋伊藤博文たち政治家が、日露戦争の日本の行く末について話し合ったというのが「無鄰菴会議」だそうです。

その会議室がそのままここに残されています。名勝鑑賞の目的で訪れたので、意外な歴史観光に得した気分で、こじんまりした洋館の中へ。

洋館

 

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外から見ると、飾り気のないシンプルな洋館。でも中に入るとその重厚さに驚きです。

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見物しているのは数人。二階に上がって奥がその会議室になります。フラッシュをたかなければ写真OKなのですが、実際のところ部屋は真っ暗で正直不気味な感じ。山県有朋公が映っていたりしたら申し訳ないのでカメラはオフにしました。というのは言い訳で、綺麗に撮れそうになかったので。

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会議室の隣に小部屋があって、そこに置かれているボロボロのイスを覗きこんでいたら、唯一私以外の見物人であるおじさんが部屋を見回して「すごいなあ」とおもわず出した感嘆の声。

「うわー、舟形だよ、すごいなあ」と天井を見上げてまた感動。ふと目があってしまったので、「すごいんですか?この天井」と聞くと、おじさん嬉しそうに、「これはね、舟形天井といって、洋館にはとても珍しものなんですよ」と説明してくれた。

おじさんによると、船の底の形を模した天井で、おもに日本家屋に用いられていたもので、洋館ではとても珍しいものなのだとか。「しかも寄木細工!」と嬉しげに写真撮影。

そうかそんなにすごいものなのかと、私も天井を一枚。「こんなすごいもの見れて410円は安いよねえ」とおじさん楽しげに去っていった。

ちなみに写真は小部屋のものですが、会議室はもっと見事でした。

庭園

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庭園の様式のこととか詳しくないのですが、とても青々としていて気持ちがいい。

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特に気に入ったのは苔。ふかふかしている感じ。山県有朋はイギリス式の庭園のような芝を植えたかったらしいのですが、さすが高温多湿のジャパン。苔が芝を上回ってしまったということで、山形公も諦めて苔の美しさを堪能し始めたらしい。

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母屋の中にも入ることができ、お茶やらスイーツやらを注文して、くつろぎながらぼんやりと過ごす極上の時間です。でもたぶんこれもシーズンオフならではのことだと思います。紅葉シーズンはゆっくり座ることもできないんではないかな。

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こういうところにいると、ついつい長居してしまうのですが、帰宅しなければならない身。そろそろ腰をあげて縁側に脱いでいた靴を履こうとすると、縁側にずらりと並んで腰掛けおしゃべりしまくるおばちゃんたち。靴はみごとそのど真ん中。

「すいませーん」と割り込んでいくと、「あー、ごめんごめん、ハハハ」「ちょっとどいてあげな、靴が、ハハハ」と何がおかしいのか陽気なおばちゃん。「いや、ほんまごめんごめん靴、どれ」と慌てて立ち上がるおばちゃんたちに「すんません、靴そこのど真ん中です」と私靴を指さす。「いやー、ハハハ」とまだまだ何が嬉しいのか笑うおばちゃん、つられて「ハハハ」と何がおかしいのかこちらも笑ってしまう。するとズラリと座っていた端っこの方のおばちゃんたちが「え、もう立つの?」「違うがな、この人の靴」「ハハハ」「なんやハハハ」ついでに私も「ハハハ」とわけがわからない状態で盛り上がった。旅行中はみんなテンションあがるのかな。

 

いろんな意味で余裕というものを感じたシーズンオフの適度な人。誰もいないと寂しいけど、多すぎるとやっぱりキツイ。いくらモミジが綺麗でも殺気だっての鑑賞はツライものなあ。京都の絶景を見るにはそれなりに覚悟が必要です。